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月刊リビング・ビジネス

ふとんのテーラーとして

ふとんのテーラーとして

石橋伸彦社長
石橋伸彦社長

 35年ぶりの再会である。1983年8月、東京蒲団技術学院を卒業して、布団制作の2級技能士試験に合格、家業である寝具店で毎日わた入れ作業を行い、今後の手作り布団や将来の寝具店のあり方などについて熱く語る青年がいた。

現在、その店を引き継ぎ、相変わらず手作り布団に精を出している石橋ふとん店の石橋伸彦社長だ。1級技能士全国技能競技大会で内閣総理大臣賞を受賞したこともある。同店は54年創業だから今年65年目で、手作り布団一筋でやってきた。

昨年10月に店舗を改装して前面をガラス張りにし、作業場が見えるようにした。通常、布団の仕立て作業は店の奥などで行うのが一般的だから、店の一番前で、しかも作業が見えるような構成は珍しい。

改装以来、サンプル商品を作り始めたところで、店内にはわたと側生地が置いてあるだけ。石橋社長は「テーラーとしてやっていく」という意気込みだ。作業場が見えるようにしたことで「飛び込みで来る人、睡眠の悩みで来る人が増えてきた」ようで、それに伴って仕事も増える。

現在、母親と週に1回くる“弟子”の3人で店を切り回している。この弟子というのは国家検定に合格しているが、それを生かすのが難しいので、こうして修行しなければならないのだという。

近年、手作り布団は掛け布団は減ってきたが、敷布団は逆に増えてきている。1枚約3万4千円と、既製品に比べるとやや高くなるが、顧客からは「温かい、熟睡できる、朝の目覚めがさわやか」といった声が常に聞かれる。注文を受けた際に住居や寝室の様子などを聞いて、それに合った作り方をするから当然のこと。まさにテーラーだ。

現在、寝具店は廃業も多く店舗数も減少を続けているが、そういう中でも「手作りは残る」と断言する。大きな商売はできないが、天然繊維にこだわり、1枚ずつ丁寧に作っていれば、消費者は支えてくれるという自信がありそうだ。

さらに、山奥に畑を確保して国産の綿花「和綿」を栽培しようと作業を進めている。そのため、わた繰りのできる人を探すなど、わたに関する話は尽きることがない。

作業場が見える店舗
作業場が見える店舗

■石橋ふとん店

住所=〒556-0016 大阪市浪速区元町3-8-15

電話=06(6632)3285

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