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月刊リビング・ビジネス

こたつは心の点滴

こたつは心の点滴

小島 祥栄
小島 祥栄

 つい先日、テレビで「日本のこたつがベラルーシに初めて上陸」という番組を見ました。冬のベラルーシはとても寒く、フローリングの床は裸足でいられないほどだそう。持ち込まれたテーブルタイプのこたつに足を入れたベラルーシのお母さんは、一瞬で満面の笑顔になりました。こたつは足腰の冷えを一瞬で癒してくれます。それは美味しいものを口に入れたときの幸福感にも似ています。

 この足元をほかほかと布団を掛けて温める機器は日本独自の文化です。この暖かさは体験してみないとわかりません。ネットでさまざまな情報が提供されていますが、「こたつ」という言葉を知らなければ検索することもできません。日本では一時期“こたつが無ければ冬ではない”というくらい普及し愛用され、“冬にこたつでみかんを食べる”のはもう文化です。廃れつつあるこの商品と文化を、最近は外国人が再発見してくれています。

 こたつは体を温める家具の一つですが、家具と呼ぶには少し違和感を覚えます。必ず布団がついているからです。

 敷布団を中心に輸出され、ヨーロッパでは「FUTON」という言葉も浸透していますが、まだまだ普及していないのが日本の掛け布団です。わた(綿、羽毛、羊毛、合繊、絹など)がたっぷり入ったフカフカの掛け布団はとても気持ちがいい。何よりも厚みがあるので温かいのです。

 海外のホテルはほとんど薄い掛け布団なので日本人には物足りず、フカフカの肌触りとクッション性の優しさ、体全体が包まれる安心感が欲しいところです(日本でも空調システムの向上に伴い掛け布団は薄くなってきましたが……)。こたつも布団が掛けてあるからより温かさを感じるのです。

 日本の布団は素晴らしく人の心を捉える魅力的な存在です。中わたが柔らかくても生地が硬ければ風合いの硬い布団になり、生地が柔らかくても中わたにがさツキがあればガサガサした布団になります。生地の熱伝導性が良すぎると冷たさを感じます。こうした情報は見た目だけではわかりません。体験してもらうのが一番です。こたつと布団は寒い冬の体を温めてくれるだけでなく、柔らかさと重みで心に安心感を与えてくれているのではないでしょうか。

こたつでみかんを食べる。日本人に生まれてよかった。
こたつでみかんを食べる。日本人に生まれてよかった。

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